アムステルダムで、10月27日にサービスデザインの国際カンファレンスが開幕した。場所を変えて毎年開催され、9年目にして最初の開催地に戻ってきたということで、ひときわの盛り上がりを見せている。参加者は世界各国に及び、業種も企業、コンサルタント、学術研究者、公共セクターとさまざま。主催者発表で650人、日本からも多数が訪れていた。
キーノートスピーカーの一人として最初に登壇したBMWのデザイナーが「かつてそれ自体が愛着の対象だった車は、パラダイムシフトを経て目的のための道具になり、サービスを提供するためのメカニズムに変化していく」と語ったのは、従来型の製造業の視点から見た基本的な「サービス産業化」の理解なのだろう。
1日目最後のスピーカーとなった地元アムステルダムのナビゲーション製品メーカー、トムトムから出演した登壇者の話が、これと対をなして興味深かった。ソフトを作ることは(ある意味)簡単だが、ハードには大きな力がある、というテーマだ。スマホのアプリケーションがあらゆる製品を置き換えてゆくかに見える中でも、一連のサービスの中に実体があり触れることのできるプロダクトがあると、ユーザーエクスペリエンスとして圧倒的に大きなインパクト、魅力、愛着につながるというのだ。
「サービスデザイン」というとさまざまなソフト面がフォーカスされがちだが、サービスという枠組みの中でとらえなおした「モノ」の意味にも注目がいると感じた。