8年前に東京でも開催されたエスノグラフィ実務者の国際会議、EPICに、インフィールドデザインからは5年ぶりに参加しました。
会場はホノルル、今年のテーマは「エビデンス」。
事前の公式サイトではデータサイエンス分野からの参加を積極的に呼びかけるなど、「データと観察をつなぐ」姿勢が前面に出ていましたが、実際のプログラムにはもっと幅広い「エビデンス」との関わりあいが浮上しました。
2日半の日程はまだ半分以上残っていますが、ここまで見て「エスノグラフィ(観察による定性的調査)」×「広い意味でのエビデンス(データ、裏付け、客観性、情報としての信頼性)」のテーマをめぐって、乱暴に言えば3つの扱い方があったように感じました。
1つは「いかにしてデータテクノロジーと定性情報を組み合わせて、ビジネスにおける説得力を持たせ、アクションにつなげるか」。エスノグラフィをどうビジネスに認めさせるかは、同業者の集まりで毎回出てくるおなじみのトピックで、関心も高く、UberやAmazonなど有名企業からの発表をはじめ大勢の参加者がつめかけていました。
2つ目は少数派ながら、データテクノロジーやAIの側から「こんなところにエスノグラフィの力を借りたい、生かしたい」というもの。
そして3つ目は、エスノグラフィの中での「エビデンス」、事実(とみなされる)情報や、特に写真、映像の扱いを掘り下げるものです。
2010年の東京、2013年のロンドン参加の印象と比べると、ややアグレッシブな雰囲気が影をひそめ、発表も落ち着き、わかりやすく、聞きやすいものが増えたようです。半面、もっと先鋭的なところがあったのでは?と感じる面もありました。
もっとも、会場での雰囲気については、ホノルルという開催地によるところもあるかもしれません。熱い議論を交わしてドアを開けば、目の前にはプールサイドと青い空がある環境では、おのずと気分も変わろうというものです。