「魚が海からいなくなるかもしれない」ーそんな問題に取り組むプロジェクトに参加して1年が経ちます。

四方を海に囲まれた日本では、近親者が水産関係だったり、港町に生まれ育ったりと、「海」や「魚」との接点が全くない人を見つける方が大変なほど、海は近い存在です。私自身もあさりが美味しい小さな漁港の近くで育ち、日本一の鰻の生産量を誇った町が隣にありました。そのように海や魚が身近な存在であり、また世界一の魚の消費大国でありながら、このままでは近い将来、魚を食べられなくなるということに危機感を持ち、何かしらの行動を起こしている消費者はほんの一握りだということも、このプロジェクトに取り組んで初めて気づいたことでした。その「何かしらの行動」を多くの人に無理なく起こして頂くにはどうすれば良いか、まずは消費者側の視点にたって提案を行うのが私たちに課せられた課題です。

この1年間で、この状況に真剣に取り組んでいる大勢の方々にお会いする機会に恵まれました。それぞれ、ご自身の得意分野やネットワークを活かして、様々な活動をされています。1/29付けのWEDGEには、そのうちのいくつかの活動がまとめられています。この記事が、「6年後の東京オリンピックのとき、日本(の水産物)はどうなっているのだろうか」と結ばれているのが印象的です。オリンピックの話題といえば、デザイン業界的にはザハの新国立競技場に代表されるように、「新たに作る」ことが注目されがちですが、「守ることで世界に日本からのメッセージを伝える」ことも、国際イベントをホストする側として、大切なことだと改めて考えさせられました。

オリンピックの際には各国からのゲストに振舞われるであろう和食。その和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたニュースは記憶に新しいですが、この和食の出汁に欠かせないカツオも、資源としては危機的状況にあるそうです。和食が「天然記念物」にならないために、実際に活動をしている方々を微力ながら応援するとともに、「守るデザイン、残すデザイン」に取り組んでいきたいと考えています。